3月3日 予算特別委員会

◆委員(井上ノエミ君) 
 まず、子どもの貧困問題についてお伺いします。この問題については、以前から各党の先輩議員の皆様も何度か取り上げられており、貧困の中にいる子どもたちの状況をご心配されていると思います。
 子どもの貧困対策の推進に関する法律は、平成26年1月17日に施行されました。これまでは、子どもの貧困問題は、優先度はそれほど高くなかったように思います。今回、新しい法律ができて、墨田区としても重要な問題として、子どもの貧困問題に取り組んでいただきたいと思います。そこで、来年度の予算において、子どもの貧困対策で何か予定していますか。
◎企画・行政改革担当課長(大竹恵介君) 
 子どもの貧困対策法では、都道府県において計画をつくり、そして、地方公共団体で実施していくとなっているので、区においても実施していくのかなと考えています。
 しかしながら来年度の予算においては、今取りまとめているところですが、子どもの貧困対策ということでは、婚姻歴のないひとり親家庭の寡婦控除等の見直しについて、関係各課と調整をして、実施に向けて取り組んでいるところです。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、墨田区における子どもの貧困の実態について、お伺いします。
 この問題も、昨年の議会で先輩議員が議論されています。厚生労働省は、OECDの作成基準に従って、2012年の日本の子どもの貧困率を13.7%としています。墨田区の子どもの貧困率を伺います。
◎福祉保健部長(大滝信一君) 
 墨田区の子どもの貧困率ですが、具体的なデータ等は持ち合わせていません。先ほど、ご質問の中にありました、子どもの貧困対策の推進に関する法律ですが、この第7条に「政府は、毎年一回、子どもの貧困の状況及び子どもの貧困対策の実施の状況を公表しなければならない。」と義務付けておりますので、今後、政府が何らかの形で毎年調査を行っていくと思います。その基準に応じて、もし墨田区で該当する項目があればデータを提出して、結果が出てくると思っています。
◎子育て支援総合センター館長(内田正代君) 
 虐待に関係して、以前子育て支援総合センターで受けている件数でございますが、それによると、生活保護の受給者が27.3%、それから生活困窮者といわれる不安定な収入の世帯が27.8%という数字が出ています。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、子どもの貧困にはいろいろな原因があります。多くの貧困家庭がひとり親の家庭です。そして、母親が精神疾患の場合もあります。父親が病気の場合もありますし、それぞれの家庭で状況は違います。
 これまでは、子どもに対する支援は、教育支援が中心でした。教育支援も大事ですが、それだけでは十分ではないと思います。貧困状態にある子どもたちのニーズはいろいろで、特に心のサポートが重要です。今後は、教育以外にも子どもの貧困問題に総合的な対策が必要です。例えば、子どもを支援するセンターが必要になると思います。将来的に、墨田区としてどのような対策を考えているのかを伺います。
◎福祉保健部長(大滝信一君) 
 子どもを支援するセンター機能を有するものについては、現在のところはまだ全く検討してございません。しかし、その前提として、子どもの貧困対策の推進に関する法律によれば、都道府県がそれぞれ子どもの貧困対策計画を策定し、それに基づいて、区市町村がいろいろな形で子どもの貧困対策を具体的に進めていく形になると思います。
 その法律の中では、委員からご指摘のあった教育支援のほか、生活支援や保護者に対する就労の支援、経済的支援、さらに調査研究も行っていくことになります。そういうことが具体化してきた段階で、その対策については、墨田区として十分検討していくことになるかと思います。また、生活困窮者自立支援法の中でも学習支援等がございますので、それと併せて子どものための支援をしっかりと行いたいと考えています。
○委員長(出羽邦夫君) 
 子どもの心のサポートについては。
◎福祉保健部長(大滝信一君) 
 これにつきましては、今は具体的に検討等を行っておりません。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、児童虐待について伺います。今年の1月には、葛飾区で2歳の女の子が父親の虐待で死亡しています。最近も、赤ちゃんを虐待して殺害してしまう事件が起きています。このような悲しい事件が2件続いて、政府も所在不明児について調査を始めるようです。
 そこで伺いますが、墨田区における所在不明児の実態はいかがですか。また、なぜ所在不明児になるのでしょうか。対面確認はどのようにしているのかをお伺いします。
◎保健予防課長(松本加代君) 
 乳幼児の所在を確認する方法として、受診率が高い乳幼児健診がございます。乳幼児健診に来られなかった子どもに対しては所在の確認が必要になります。それで、健診に来られなかった方に対しては台帳をつくり、それに基づき担当から電話、手紙等で健診の再度依頼をしています。
 それでもいらっしゃらない場合には、ご自宅を訪問し、子どもの確認をしています。それでも不在のことがあるので、その次には、前後で行っている予防接種の結果表を確認して、予防接種を受けていれば、所在が確認できているという判断をしています。それでも所在が確認できない場合には、所内で処遇会議を開き、半年に1回確認をした上で、所在が明らかにならない子どもについては、東京都子供家庭総合センターにその状況をお伝えして、再度把握をしていただくようにしています。
◎子育て支援総合センター館長(内田正代君) 
 保健センターからいただいたデータを基に、再度調査をします。前期分は77件ございました。その中で、少しどこかで漏れたのかもしれませんが、保育園へ行っている方、それから乳幼児医療証を使っている方については確認できました。
 ところが、24件は確認できませんでした。ただし、この24件については、全て外国籍であるとか、お父さん、お母さんのどちらかが外国の方です。入国管理局に依頼をして、出国しているかどうかを調査しているところです。
 また、保育園や学校で、長期欠席などにより、登校していない、顔を見ていない児童・生徒がいます。その場合には、学校の先生やスクールソーシャルワーカーなどと一緒に自宅に何度も足を運んでいます。
 しかし、今は1件について、国内にいる可能性があるのですが、所在が分からない生徒がおり、いる可能性のあるところに調査をかけている状況です。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、外国人家庭における児童虐待についてお伺いします。外国人家庭は、地域社会から孤立しやすい環境にあり、公園に子どもを連れていっても、日本人のお母さんと友達になることが難しいです。
 また、日本語も十分にできず、生活も苦しいなどストレスが多く、児童虐待が起こりやすい環境にあると思いますが、実態はいかがでしょうか。
◎子育て支援総合センター館長(内田正代君) 
 委員おっしゃるとおり、なかなか難しいところがあると思います。現在、254人の方をケースとして抱えています。その中で、外国籍の方が関係するケースは33人です。虐待の関係が20件、それから、虐待にいたる直前の養育困難が13件という内訳になっています。

◆委員(井上ノエミ君) 
 また、虐待の問題が起こった場合、外国人の両親と話す通訳の予算はあるのでしょうか。
◎子育て支援総合センター館長(内田正代君) 
 通訳の予算はつけておりません。今は、何とか日本語で話をしている状況です。今回、どうしても言葉が分からない家庭があり、文化・国際担当のボランティアの協力をいただきました。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、高齢者対策についてお伺いします。埼玉県和光市の画期的な高齢者対策が、介護関係者の間では有名になっています。和光市では、実際に介護を必要とする人が大きく減っており、介護を必要とする要介護認定率が10.2%で全国平均17.4%より低くなっていますが、墨田区の要介護認定率は何%ですか。
◎介護保険課長(高橋宏幸君) 
 和光市の事例ですが、確かに介護予防にすごく力を入れており、画期的なことをやっていることは私も存じ上げています。墨田区における要介護認定率は、要支援と要介護を合わせた認定率で約17.6%です。

◆委員(井上ノエミ君) 
 和光市が要介護率を大きく減らしたのは、介護の予防に力を入れているからです。高齢者が自宅に引きこもらないように、身近な場所に小規模施設をたくさんつくり、高齢者が活動できる場所を提供しています。墨田区の介護予防施策にも参考になると思いますが、どのように考えているのかをお伺いします。
◎高齢者福祉課長(栗林行雄君) 
 身近な場所に小規模施設をたくさんつくるべきだということですが、本区においては、介護に資する運動教室を、区の施設をはじめとして地域集会所、総合体育館、コミュニティセンター、地域プラザなどで実施しています。
 ほかにも、民間のスポーツクラブを使って行っているところもあります。現在、区内で行っている会場が全部で45カ所あり、今後も新たな施設の開拓をしていきたいと考えています。